次の章を考える前に、自分のシリーズを読み返そう

シリーズが10話まで進むと、たいていの作家は第11話を記憶を頼りに考えます。そして記憶はずれていきます。
脇役の傷が反対の頰に移る。主人公が第3話でした約束が、二度と出てこない。第2話では一週間寝込むほどの代償があった魔法が、第9話ではタダで使われている。物語を忘れたわけではありません。ただ、あなたが覚えているのは頭の中のバージョンで、読者が知っているのはページの上のバージョンだけなのです。
だから次の章を考える前に、ページから自分のシリーズを読み返しましょう。
正しいのはメモではなくページ
描いているうちに計画は変わります。場面が削られ、ペン入れの段階でセリフが書き換わり、キャラクターが思っていたより面白くなる。メモには古いバージョンが残り、ページには読者が実際に読んだバージョンが残ります。
メモとページが食い違ったら、ページが正解です。読者はあなたのメモを見られませんし、第11話が第4話と矛盾していたら気づきます。新しいことを考える前に、実際に描いたものから、このシリーズで何が事実なのかを組み立て直しましょう。
一話につき一行で書く
話を順番にたどり、それぞれ何が変わったかを一文で書きます。「ミカは、事故について兄が嘘をついていたと知る」。「ミカが学校に行って友達と話す」ではありません。
この短い作業から、多くのことがわかります。
一行が書けないなら、その話には転換がないのかもしれません。話の終わりには何かが変わっているべきです。
二つの行が同じことを言っているなら、どちらかの話がもう一方を繰り返しているのかもしれません。
行を順番に読むと、シリーズ全体のペース配分が見えます。物語が加速するところと、3話にわたって同じところを回っているところが。
未回収の伏線をすべて書き出す
あなたが投げかけた疑問、キャラクターがした約束、意味ありげに見せた小道具。そのすべてが読者への約束です。あなたが忘れても、読者は覚えています。
何が、どの話で仕込まれ、回収されたかどうかを一覧にしましょう。次の章を考えるとは、ほとんどこの一覧をたどって、今回収するもの、まだ開いたままにしておくもの、意図的に捨てるものを決めることです。意図して捨てた伏線は選択です。忘れられた伏線は、ミスに見えます。
キャラクターごとのセリフをまとめて読む
一話の中では問題なく見えるキャラクターの口調も、10話かけて少しずつずれていくことがあります。一人のキャラクターのセリフを順番に抜き出して、ひとまとまりで読んでみましょう。言葉選び、リズム、一人称や語尾、丁寧さは変わっていないか。変わっているところがあれば、物語の中にそのきっかけがあったでしょうか。
ついでに、各キャラクターが何をいつ知ったのかも書き留めておきましょう。M2Wの「マンガの基礎」の記事「設定資料(シリーズバイブル)」では、これを「何を知っているか」の欄と呼んでいます。読者が一番早く気づくミス、つまり教えられていない情報をもとにキャラクターが動いてしまうミスを防いでくれます。
登場人物をページと照らし合わせる
これまでに登場した全員を書き出します。それぞれについて、ページ上で名前が出たか、最後に登場したのはいつか、物語にまだ必要か。長いシリーズには、登場して、何かを約束して、そのまま消えてしまった人物が出てきがちです。
プロットパートナーでできること
長いシリーズでこれを全部手作業でやると、少なくとも一晩はかかります。プロットパートナーなら最初の作業を任せられます。すでにアップロードしたシリーズからセッションを始めると、あなたが知っていることを打ち直させる代わりに、話を読み込んでくれます。
取り込む内容は選べます。前提と世界観、キャラクター、ストーリーの編成と展開、そしてセリフ。章ごとのあらすじはマンガの一覧に表示され、各ページのセリフは話・ページ・話者ごとに整理されてセリフの画面に入るので、台本全体を一か所で読み返せます。チャットは実際のページをもとに答えるので、「ミカは第3話で何を約束した?」と聞けば、あなたが描いた内容から答えてくれます。
取り込んだ内容はすべて編集できる出発点です。そして前に書いたとおり、食い違いがあればページが正解です。読み取れない話があっても、その話だけがスキップされて残りは取り込まれ、あとからやり直せます。
次の章を考える前に
一話につき一行で、何が変わったかを書く。
未回収の伏線をすべて書き出し、回収済みかどうかを確認する。
主要キャラクターのセリフを順番に読む。
各キャラクターが何を、いつから知っているかを書き留める。
消えたままの人物がいないか、登場人物の一覧を確認する。
そのうえで、次の章でどの伏線を回収するかを決める。
一時間かけて読み返せば、たいていの場合、後で矛盾を直すのに使う何話分もの手間が省けます。

Joe
CTOCo-founder & CTO of M2W